とりとめのない読み物のようなもの

 最近、あちこちで信号機がLED(発光ダイオード)式の物に付け替えられているのを見かける。
歩行者用のはなかなかカワイくて、黒地に赤と緑のLEDが埋め込んであり、外国を思い出させる。
私はその存在を知った中学生の頃から何故かLEDに惹かれていて、よくデジタル時計とか、音センサーシグナルなどの工作キットを買っては遊んでいた。私の時代は、男子は技術科女子は家庭科と男女差別の教育システムだったので、はんだの付け方など全く教わらなかった為(今でもそれで苦労する)、それはそれは不格好な物に仕上がってしまうのだったが。
新しい信号機を見つけてそんな昔の事なんぞが蘇ってきたが、ちょっと残念なのは車用信号だ。
ちいさなLEDが何百個も集まって鮮やかな丸い形を作るのはそれなりにきれいだけれど、私にはもっと好きなLED信号機があるのだ。プロジェクター方式というらしいのだが、これはだいぶ前から西日がまぶしくて信号が点いているのかいないのかわからない場所にのみ設置してある。それは何と言おうか、不思議な光を放っていて、異次元の世界への入り口のように”向こう側”がある風に感じられてつい見とれてしまう。密かに世の中の信号が全部これになればと願っていたのだが、多分コストの問題だろう、どうやら主流はちっちゃいツブツブ信号機になるようだ。
 LEDと言えば少し前、青色発光ダイオードのことが問題になった。
これは一日本企業の研究室で開発されたが、青が出来た事で世の中の色々な物に役立ち、とてつもなく巨万の富を産む大発明だったのだ。それを、企業側は「ウチが用意した施設で出来たんだから会社に権利がある」といい、発明者は「私が発明したんだから私に権利がある」というような裁判になった。家電メーカーの研究室に勤める友人が言っていたが、普通はこういう場合、企業がパテントを取って利益を得るものらしいし、研究者もそれを承知で契約するようだ。だが、今回の件はあまりにも世界的な大発明だったのに、企業側の発明者に対する敬意なり報酬なりが足りなかったため訴訟になったということらしい。
 この話を聞いてつい自分を取り巻く環境に当てはめて考えてしまった。
ミュージシャンは演奏したり、作詞作曲したりしてお金を得ている。演奏の場合は「取っ払い」と言ってその場でギャラが得られるが、CDでの作詞作曲はほとんど印税方式だ。よっぽど売れない限り微々たる金額にしかならないが、一応「著作権」というものによって音楽家の権利は守られている。しかし最近多くの人にとって音楽は「タダでダウンロードするもの」であったり「友達からMDにコピーしてもらうもの」であったりするためにどんどん作者に還元されなくなってきている。どのレコード会社の人に会っても「CDが売れなくてねえ」とこぼされる。ある会社はCDの売上よりDVDの売上の方が多いそうだし、別の会社はもうCDメディアに見切りをつけて、着メロとか有料ダウンロード事業での権利を得るのに躍起になっている(つい先日独禁法で査察が入りましたね)。
CDが売れなくなるということは、それを作るための制作費も削られるということだったり、売れそうにない物は作らせないという事態を引き起こす。私はなにもここで「イイ音楽聴きたかったら、ちゃんとアーティストに還元されるように正規のルートで買ってください」というつもりではない。時代の流れとして仕方ないと思っているが、「自分の曲を生のオーケストラでやりたい」などという野望は、あまりにもお金がかかりすぎて夢のまた夢でしかないのが現状だ。
 さっきの青色LEDの話とは若干ケースが違うが、いずれにせよ、何かを作る人にはそれなりの環境が必要で、それがなければ未来に産まれるものが少なくなるという結果をもたらす。昔バブルの頃は、企業がイメージアップのための文化事業として、色々な育成金を出したり場所を提供したりしていたし、更に何百年も前にはパトロンなりタニマチといった人々が新しいものを産み出すために貢献していたが、今は、一人一人の消費者が私達を支えていると言っていい。

「偉そうな事言ってる暇があったらアルバム作れー!」という声が聞こえてきそうですが、スミマセン、遅れています。でも、やる気はあります。もうしばらくお待ち下さい。その替わりという訳でもないのですが、今年は何故か私にしてはLIVEが多くて、告知しないクローズドなイベントへの参加も含めたら、確実に月一本以上はやっていて、この状態は年末まで続きます。それらのほとんどは、メンバーや編成ややる曲が違うので、一つ一つの打ち合わせや準備が大変です。もっとも、半分以上はインプロ(即興)なのでリハーサルは少ないのですが、精神的にはかなり束縛されます。もともと自分ではLIVEよりレコーディング向きだと思っているのですが、インプロはその場だけの楽しみなので、呼ばれれば出向くようにしています。こんな滅茶苦茶やってお客さんは楽しいのだろうかと思う時もありますが、インプロ好きの方も多いようで、いつも沢山の方に見に来ていただいて感謝しています、ありがとうございます。

2004.8.30






back